帯広~道の駅忠類~シーニックカフェちゅうるい~晩成温泉~ホロカヤントー竪穴群復元竪穴住居~晩成海岸~旭浜のトーチカ群~ナウマン象発掘跡地~帯広
2024年夏の北海道車中泊の旅(Part7)
6日目:2024/08/11
コンテンツ
朝6時半、静かな雨音が聞こえる中で目を覚ます。
7時の朝食はメロン、モズク、バナナというヘルシーラインナップ。「昨日のハラミ300gを忘れるにはこれしかない」と一人反省会をしながら、体を軽くして出発の準備を整える。8時にはさらにモズクとバナナ、そしてシュークリームを追加で平らげ、「やっぱり足らんかったな」と思いつつ、8時半に出発。
道の駅忠類:ナウマンゾウとゆり根のまち
9時18分、雨の中たどり着いた道の駅 忠類。ここは「ナウマン象記念館」が併設されているユニークな場所で、旅人には嬉しい24時間トイレも完備。売店で「いももち」と名物の「百合根あんぱん」を購入する。
北海道の大樹町は、近年、日本の宇宙開発における重要な拠点として注目を集めています。特に、民間企業によるロケット打ち上げの成功によって、この町は「宇宙のまち」として全国にその名を轟かせています。
広尾町は、昭和59年にサンタクロースの故郷ノルウェーが認めた国外初、日本で唯一のサンタランドです。
シーニックカフェちゅうるいの温かさ
その後、道の駅虫類から車で5分ほど走らせ「シーニックカフェちゅうるい」に立ち寄る。
日高山脈を望む忠類地域で最も美しい絶景を誇るカフェです。丘からは牧場や畑、森林が広がり、山脈が大地を守るようにそびえています。
毎年7~9月の週末にオープンし、眺望やおもてなし、音楽仲間のコンサートが訪れる人々を癒し、全国からリピーターを集めています。
また、地域経済活性化を目指し、地元飲食店のクーポン配布やSNSでの情報発信を行い、多くのフォロワーを獲得しています。
このカフェは、広大な忠類共栄牧場内の丘の頂上に位置し、R236号線の看板を目印に進むと駐車場が現れ、その80m先に四阿(あずまや)風の建物が現れる。
ここは、旧忠類村時代に、ハイキング道の休憩場所として作られた四阿を再利用して運営しているとのこと。
ボランティアの地元スタッフさん達が温かなもてなしで運営しており、提供されるコーヒーや紅茶を楽しみながら、雄大な日高山脈や牧場や畑、そして森林を一望できる素晴らしい空間だ。
来訪は私一人だけで、スタッフさんたちと話が弾む。「例年、この前の牧草地で牛を放牧しているんですよ」と教えてもらい、「牧草地+カフェって、働く環境としては最高ですね」と、続けて
「7月に十勝を訪れたときは快晴ばっかりやったんですけど、8月に入ってから雨が多い気がしますね」と、ボランティアスタッフのおじさんに話しかけると、穏やかな笑顔で返ってきた。
「ああ、蝦夷梅雨だな。北海道では今の時期、こうやって雨がよく降るんだよ。」
「蝦夷梅雨?」と聞きなおす。おじさんは湯気の立つコーヒーのおかわりを運んでくれながら説明してくれた。
「オホーツク海高気圧の影響で冷たく湿った空気が入ってきて、こういう天気になるんだよ。十勝は。」
「なるほど、そういうことだったんですね。でも、『蝦夷梅雨』ってなんだか風情がありますね。」
「涼しくて過ごしやすいだろう?」とおじさんは優しく笑った。
雨にぬれる牧草地を眺めながら、「たしかに、これも十勝らしい景色ですね」と頷くと、おじさんも仕方なさそうに頷き返してくれた。
雨でもなんでも旅は楽しまないと、ね。蝦夷梅雨という言葉で、雨の楽しみ方を覚えた。
会話を楽しみながら、出されたコーヒーを3杯もいただいてしまう。味わい深いコーヒーを飲みつつ、「こういう時間が旅の醍醐味やな」としみじみ思う。
雨の中、温かいおもてないを本当にありがとうございました。
水平線が見える晩成温泉とチーズサーモン丼
11時10分、ようやく到着した晩成温泉。世界的に珍しいヨードの湯。サウナ、海が見れる外気浴を楽しめるという。帯広百年記念館で見た開拓の歴史が頭をよぎりながら湯船に浸かると、目の前に広がる太平洋の水平線に感動。
「これが晩成社の依田勉三氏たちが切り開いた土地か」としみじみ思う。温泉の温もりが体に染み渡る。次回は快晴の水平線も見てみたいな。
晩成温泉は「ヨード泉」の代表格で、検索すると最初に名前が挙がるほど知名度が高い温泉です。茶褐色の湯には、他のヨード泉と比べても非常に高濃度のヨウ素イオンが含まれており、その成分の濃さが特徴的です。
湯上り後には、十勝の新たな名物として人気を集めるチーズサーモン丼を堪能。晩成温泉でも多くのファンを持つ看板メニューで、サーモンとチーズの組み合わせが新しい。
ホロカヤントー竪穴群復元竪穴住居
腹を満たした後、雨の中、まずは再現されたホロカヤント―竪穴住居を見学に行く。
この竪穴住居は擦文(さつもん)文化期の竪穴式住居が南北2kmにわたり百数十基存在する遺跡で、擦文式土器や金属器、動物骨が出土し、擦文文化研究に貴重な価値を持つ。
ホロカヤントーのワカサギ釣り場にある料金所は、赤レンガ造りの古い建物で、海沿いの過酷な風雪に耐えてきた歴史を感じさせる佇まいが印象的だ。その独特な雰囲気には哀愁が漂い、釣り場の風景に趣を与えている。
この遺跡は擦文(さつもん)文化期を主体とする竪穴式住居群落で南北約2kmにわたって百数十を数え、一辺の長さは5m前後で方形に近く、深さは50~100cm、外周は約3mにわたって約10~20cm土盛してある。出土品は擦文式土器が主体で、少しではあるが土師(はじし)系オホーツク式系とも思われる土器が混在している。石器は皆無に近く、金属器、動物骨格などが出土しており、擦文文化を究明する上で貴重な遺跡である。(大樹町教育委員会)
この竪穴住居は約1000年前の擦文時代の住居を昭和36年10月に、当時の北大医学部教授大場利夫氏、大樹高等学校長棚瀬善一氏が中心となり、大樹高等学校の生徒の協力を得て発掘調査四箇所をした資料に基づき復元したものである。北海道のこの他の地域と比べて特徴的なことは壁際に炉のあとがないことから漁期のみ住んだ夏の家であったと考えられる。またオホーツク式土器が出土しているところから、オホーツク文化の太平洋沿岸における南限を示すものと言われている。住居の規模は地上高5m、間口5.5m、奥行き5.5m、深さ1.1m、床面積30.25平米。(大樹町教育委員会)
強風波浪、十勝のグランドキャニオン危機一髪
Google Mapsを眺めていると、「お、海岸沿いの砂浜を歩いて十勝のグランドキャニオンに行けるやん」と妙にワクワクしてしまった。地図上では細いながら道ながら砂浜がつながっていて、「ここから、歩いて行けるやろ」と軽い気持ちで雨の中を歩き始める。
ところが、現実の海はそう甘くなかった。最初は穏やかに見えた波が、歩くにつれてどんどん勢いを増してくる。「なんか風も強くなってきたな」と感じつつも、グランドキャニオンが見たい一心で前に進む。
しかし、時間が経つにつれて砂浜のスペースがみるみる狭くなる。「あれ、これどうなってんの?」と不安を感じ始めた頃、強風に乗った波が大きく押し寄せてきた。ふと気づくと、膝まで波が襲ってくる。「え、ちょっと待って、これヤバいやつちゃうのん?」
潮が引くタイミングを見計らいながら、少しずつ移動を繰り返す。
さらに、満潮の時間帯に入っていたらしく、波は勢いを増して岸壁に迫る勢い。「これ、もう後戻りできへんやん!」と心の中で叫びつつ、波を避けながら必死に前進する。波は荒々しく、風が顔に叩きつける砂で視界も悪い。足元はふらつき、波に飲まれそうになるたびに全身の力を振り絞って耐えた。
「グランドキャニオンなんてどうでもええから、まずはここから脱出せな!」と方向転換を試みるが、既に砂浜の道は消えかかっていた。最後はほとんど岸壁に押し付けられながら、波が引く隙を見て必死に進む。「これ、遭難したらニュースになるやつやん」と半ば本気で恐怖を感じる。
ようやく無事に出発地点に戻った時には、ヘソから下がびしょ濡れで砂まみれ。自然の厳しさをこれでもかと味わった一日だった。
「次行くときはちゃんと調べて、満潮の時間を確認しよう」と深く反省しながら車に乗り込み、砂浜の恐怖体験を後にした。
ジャングルに迷いこむ:旭浜のトーチカ群
さらに「旭浜のトーチカ群も見たいな」と思い、Google Mapsを頼りに車を進める。しかし、いつの間にか道が怪しくなり、舗装された道が徐々に砂利道、そしてただの土道へと変わっていく。「あれ、これ大丈夫なんか?」と不安がよぎるが、戻るのも面倒でそのまま進んでしまう。
それが間違いだった。道はどんどん狭くなり、車の両側に迫る木々が窓を叩き始める。
「これ、絶対ヤバいやつやん」とハンドルを握る手に力が入る。道幅はすでに車一台分ギリギリで、草がボンネットに覆いかぶさるようになってきた。まるでジャングルに迷い込んだような状況だ。
前に進むたびに、枝がガサガサと音を立て、視界も悪い。「ほんまにこれ道なん?」と声に出しながら進むが、先が見えない不安が募る。Uターンしようにもスペースがなく、ただひたすら前に進むしかない状況。
「こんなとこで立ち往生したら、どうするんや…」と半ばパニックになりかけた頃、ようやく道らしきものが開けてきた。ホッと胸を撫で下ろしながら、なんとか元の道へ脱出。「15分やったけど、体感1時間やな…」と、無事であることに心底感謝した。
今回の教訓は、「怪しい道に入る前にちゃんと確認すること」やなと、車を降りて一息つきながらつぶやいた。
ナウマン象発掘跡地で静寂のタイムスリップ
ドキドキが2回も続いたが、少し落ち着いた。帯広への帰路、車を走らせていると「ナウマン象発掘跡地」という標識を発見。標識を頼りに細い道を進むと、それらしい場所にたどり着く。周囲を見渡しても観光客の姿はなく、車のエンジン音すら消えた途端、辺りはしんと静まり返った。
足元の地面を見ると、ナウマン象の足跡が。この場所にいると、何万年も前の象がここを歩いていたんだなと想像すると、少しロマンを感じる。とはいえ、やっぱり観光客が誰もいない。「これ、俺だけタイムスリップしたん?」と思えるほどの静寂だ。
風が木々を揺らし、その音が妙に大きく感じられる。太古ナウマン象のお墓参りを終え、跡地を後にする。誰もいない観光地というのは、静かで良い反面、ちょっと心細いものだ。
車に戻ると、またいつもの旅のペースが戻ってくる。帯広への道を再び走り始めた。「ナウマン象発掘跡地、静かすぎる穴場スポットやったな」まだ乾ききれていない服が冷たく感じる。
帯広の拠点で晩酌
15時43分、ようやく帯広の拠点に帰宅。今日の走行距離は195km、給油は11リットル。車を労いつつ、ダイイチで買い物。16時半には拠点に戻って一息つく。
晩ごはんは少し控えめにと思いつつ、17時半にはビールを開け、エノキ豆乳シュレッド焼きとこんにゃくステーキをつまむ。「これぐらいならセーフやろ」と思っていたのも束の間、18時半にはオム焼きそばが登場。さらにビールを開けて、「もう今日は気にせんとこ」と自分に言い聞かせながら満足のひととき。
波乱と癒しの一日を振り返って
晩成温泉と海岸線での波乱のひととき、そして道の駅忠類のシーニックカフェでのほっこりした出会い。北海道の自然と人々の温かさに触れた一日は、振り返ると笑い話になることばかりだった。「明日はもう少し穏やかに過ごしたいな」と思いつつ、旅の楽しさと無事であることに感謝をささげ眠りについた。
ほな、また明日!
今回訪問したところ
道の駅 忠類
シーニックカフェ ちゅうるい
晩成温泉
ホロカヤントー竪穴群復元竪穴住居
晩成海岸
旭浜のトーチカ群
ナウマン象発掘跡地
神戸-関空シャトル~関空~新千歳空港~帯広 2024年夏の北海道車中泊の旅(Part7) 初日:2024/08/06 初めての神戸-関空ベイシャトル:駐車場が無料 2024年8月6日(火) 朝5時半、夏の静けさの中で目を覚ます。風呂に浸かり、心身を整えながら今日の旅の準備をする。西宮から直...
帯広~糠平湖~タウシュベツ川橋梁~士幌線幌加駅跡~三国峠展望台~銀河の滝・流星の滝~層雲峡~橙ヤ~セブンスターの木~ケンとメリーの木~道の駅 びえい「白金ビルケ」~青い池~十勝岳カミホロ荘 2024年夏の北海道車中泊の旅(Part7) 2日目:2024/08/07 糠平湖キャンプ場:早朝から霧...
十勝岳温泉カミホロ荘~美瑛川、白ひげの滝~大島農園~かなやま湖ラベンダー畑~ぽっぽやロケ地幾寅駅~ミンタルチーズ~新得そば処せきぐち~オベリベリ温泉水光園 2024年夏の北海道車中泊の旅(Part7) 3日目:2024/08/08 カミホロ荘で迎える極上の朝:温泉と朝食で気分は上々 ...
帯広~道の駅夕張メロード~支笏湖ビジターセンター~帯広 2024年夏の北海道車中泊の旅(Part7) 4日目:2024/08/09 朝5時、帯広の拠点で目を覚ます。寝ぼけた頭を振り払いながら、「今日もいくで!」と気合を入れる。まずは洗濯。これが案外、旅の中で重要なタスクだったりする。回る洗濯機...
帯広百年記念館~あじ福 みなみ野店~スポーツデポ~ニトリ~炭焼ステーキ ビーフインパクト フレスポ帯広店 2024年夏の北海道車中泊の旅(Part7) 5日目:2024/08/10 4時半、目覚める。窓の外はまだ薄暗いが、「早起きは三文の得や」と自分を奮い立たせて起きる。まずは6時15分にシャ...
帯広~道の駅忠類~シーニックカフェちゅうるい~晩成温泉~ホロカヤントー竪穴群復元竪穴住居~晩成海岸~旭浜のトーチカ群~ナウマン象発掘跡地~帯広 2024年夏の北海道車中泊の旅(Part7) 6日目:2024/08/11 朝6時半、静かな雨音が聞こえる中で目を覚ます。 7時の朝食はメロン、...
じんぎすかん北海道~ひまわり温泉~ブルー~スープカレービリーブ~道の駅おとふけ車中泊 2024年夏の北海道車中泊の旅(Part7) 7日目:2024/08/12 朝5時、帯広の拠点で目を覚ます。ひとまず朝の腹ごしらえだ。昨日のオム焼きそばの残りを平らげることにするが、これがどう見ても2人前はあ...