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北海道車中泊の旅4日目:2024/07/05
さくらの滝:サクラマスの力強い滝のぼり
2024年7月5日(金)
3時40分、清里オートキャンプ場で目覚めると、外はすでに明るかった。北海道の夏の朝は早い。キャンプ場の静けさの中で身支度を整え、6時15分に清里オートキャンプ場を出発。最初の目的地は「さくらの滝」。道中の空気はひんやりとして心地よい。
6時50分、さくらの滝に到着すると、すでに観光客が三組ほど来ており、大分ナンバーのキャンピングカーも停まっていた。この滝は高さ約3メートル、幅約20メートルの小さな滝だが、6月上旬から8月下旬にかけて、特に日中の温かい時間帯にサクラマスがこの滝を飛び越えようとジャンプする姿が見られる。海に渡ったヤマメがサクラマスになって3000匹ほど戻ってくるのだ。
早朝なので一番乗りかと思ったが先客がすでに三組ほどいた。
実際に滝を観察すると、マスが勢いよく水流を飛び越えようとする姿が何度か目に入り、自然の力強さに思わず感動してしまった。体全体を使って懸命に滝を登ろうとする姿は生命力そのもので、目の前の自然のドラマに引き込まれる。滝の周辺は緑が豊かで、涼しげな雰囲気が漂い、朝のひんやりとした空気が心地よかった。
ここは電波が入りにくいため、外部との連絡は非常に取りずらい。その分、目の前の自然に集中できる環境が整っていて、静けさの中で自然と向き合うには最高の場所だ。早朝なので観光客も少なく、滝の流れる音と鳥のさえずりだけが聞こえる贅沢な時間を過ごすことができた。
神の子池
次に向かったのは「神の子池」。7時40分に到着した。ここも電波は届かず、外部との連絡は断たれるが、それが逆に神秘的な雰囲気を引き立てている。観光客は自分以外に誰もおらず、まるでこの場所を独り占めしているかのような感覚を味わえた。
「神の子池」は、摩周湖から地下でつながっていると言われる湧き水が満たす直径約220メートルの池だ。水温は年間を通して約8度に保たれており、どんな季節でも澄み切った青い水が静かにたたえられている。その透明度は驚くほど高く、池の底に沈んでいる倒木が鮮明に見えるほどだ。倒木は腐ることなく青い水に包まれていて、この池が「神秘的」と称される理由が一目で理解できる。
池の周辺は手つかずの自然に囲まれており、鳥のさえずりや風が木々を揺らす音が心地よい。人の気配がない静寂の中、青く輝く水面をじっと眺めていると、日常を完全に忘れてしまうような時間を過ごすことができた。朝の光が差し込むタイミングで訪れたため、池の青さが一層際立ち、美しさに見とれてしまった。
アクセスはやや細い道を進む必要があるが、その先に広がるこの静かな風景は訪れる価値が十分にあると感じた。神秘的な池を前にすると、日々の忙しさから解放され、心が浄化されるような不思議な感覚を味わえる特別な場所だった。
「道の駅ノンキーランドひがし藻琴(もこと)
8時50分、セブンイレブン小清水町店に到着。トイレを借りつつ、朝食の調達を行う。この時点で小腹が空いていたので、簡単な食事を済ませる。9時36分、網走でガソリンを給油。走行距離は102kmで8リットルを補給した。軽バンの燃費はまずまずだ。
9時43分には「道の駅ノンキーランドひがし藻琴(もこと)」に立ち寄った。この道の駅は、オホーツク地方の広大な自然に囲まれた場所にあり、地域の特産品や観光情報が充実しているスポットだ。「ノンキー」という名前は、この地域が酪農の盛んなエリアであることに由来しており、牛をはじめとする牧場のイメージが道の駅全体に漂っている。建物の中は明るく、地元の新鮮な農産物や乳製品、加工品が並ぶほか、手作り感のあるお土産も豊富に揃っている。
生クリームとあんことしっとりした生地が絶妙なすがの商店の「生どら焼き」や、地元産の塩を使った「オホーツク塩クッキー」と「饅頭」も手に取った。どれも地元ならではの味が楽しめそうで、食べるのが待ちきれなかった。
さらに、この道の駅は観光の拠点としても便利で、近くには「ひがしもこと芝桜公園」や「藻琴山」といった自然豊かな観光地が点在している。訪れる人にとって、ここで休憩しながら観光情報を集めたり、お土産を選んだりするのが定番の流れだ。
地元の方々の温かさも感じられる道の駅で、リラックスした雰囲気の中、地元の味覚と出会える素敵な場所だった。これらのお土産を手に、車内での旅の合間に少しずつ味わうのも楽しみの一つだと感じた。
北海道大空町東藻琴の泊まれる道の駅「ノンキーランドひがしもこと」公式サイト。女満別空港から車で約25分。知床や流氷、摩周湖など道東観光の周遊拠点に最適。リーズナブルに宿泊できる広い客室が魅力です。レストラン・お土産ショップ・多目的ホールを完備。
北見市の「モイワスポーツワールド」
10時にはセイコーマートさとみでおにぎりを購入。車内で軽く食べながら移動を続ける。そして、12時08分に北見市の「モイワスポーツワールド」に到着した。この施設はスポーツ合宿や大会で利用されることが多く、広大な敷地と充実した設備が特徴だ。特にラグビーやサッカー、陸上競技など、さまざまなスポーツに対応したフィールドが整備されており、全国から学生やアスリートが集まる場所となっている。
広大なグラウンドを整備されている
センターオフィス棟
宿泊棟
施設内を歩いていると、食堂に同志社大学と立命館大学のペナントが飾られているのが目に留まった。ラグビー部の合宿で訪れた際に贈られたものらしい。最近では立命館は合宿を行っていないが、同志社大学は8月上旬から合宿を予定しているとのこと。学生たちが暑い夏の中で汗を流しながら練習に励む姿が目に浮かぶ。
この日は合宿中の姿を見ることはできなかったが、食堂で昼食をいただきながら施設の活気を感じることができた。昼食は中華飯とアイスコーヒー。ボリュームもちょうどよく、味もしっかりしていて満足感があった。午後の移動に向けてしっかりエネルギーを補充できたのが嬉しい。広々とした施設内でゆっくりと過ごしながら、ラグビーの季節を思い描いて活気ある日々を想像してみるのも楽しいひとときだった。
道の駅温根湯(おんねゆ)「世界一の鳩時計」と「山の水族館」
12時46分、スポーツワールドを後にして、13時10分には「道の駅温根湯」に到着した。ここは、北見市の温根湯温泉エリアに位置する道の駅で、観光客や地元の人々が集う便利な拠点だ。道の駅には特産品や地元の農産物が並ぶ売店があり、観光情報も充実している。
何よりの目玉は「世界一の鳩時計」。高さ約20メートルにも及ぶこの巨大な鳩時計は、仕掛け時計のように時間になると鳩が飛び出し、楽しい音楽とともに人々を楽しませてくれる。そのスケールに圧倒されつつ、時計の仕掛けに見入ってしまった。
次に向かったのは、すぐ隣にある「山の水族館」。入場料650円で、淡水魚を中心に展示されたユニークな水族館だ。北海道の川や湖に生息する魚たちを間近で観察できる施設で、特に地元の自然環境にフォーカスしている点が特徴的だ。中でも目を引いたのが、ドーナツ型の水槽。魚たちがその形状に合わせて泳ぐ様子は、他の水族館ではなかなか見られない光景で、新鮮な驚きがあった。
また、山の水族館ならではの展示として、「冬の水槽」がある。氷点下の川を再現した展示では、凍った水の中で生きる魚たちの様子が見られ、北海道の厳しい自然環境での生命力を感じられる。さらに、「滝つぼの水槽」という展示も面白く、滝の下に生息する魚たちの行動を観察できる仕掛けになっている。
規模としては小さめの水族館だが、展示内容が工夫されていて、訪れる人を飽きさせない魅力がある。特に子ども連れや自然好きの人にはぴったりの施設だろう。短時間で北海道の水辺の生態系を学べる充実した時間を過ごし、心がリフレッシュされた。道の駅温根湯とセットで立ち寄るには絶好のスポットだと感じた。
塩別つるつる温泉
13時50分、「塩別つるつる温泉」に到着。ここは北海道北見市の郊外にある人気の温泉施設で、その名の通り、肌がつるつるになる泉質が自慢の温泉だ。アルカリ性単純温泉で、pH値が非常に高いため、入浴すると肌がすべすべになる感覚を味わえる。特に女性客からの評判が高いが、温泉好きなら誰でも一度は体験してみたくなる泉質だ。
施設は自然豊かな環境に囲まれており、四季折々の景色を楽しみながらゆったりと過ごせる。さらに、館内には大広間や食堂もあり、温泉の後にゆっくりくつろぐことができるのも魅力的だ。食堂では地元の食材を使った料理が楽しめるほか、軽食メニューも充実しているため、温泉だけでなく食事も楽しみに訪れる人が多い。
温泉に入る前、ふと体重計を見つけて測ってみたところ、やや増え気味の数値にちょっとしたショックを受けた。ここでさすがに節制しようと心に決めたのだが、温泉でリフレッシュすると、その決意も少し緩みそうになる。
内湯は広々としており、ジェットバスや寝湯など種類も豊富で、体の疲れをじっくり癒すにはもってこいの設備だ。
露天風呂では、木々の緑や澄んだ空気を感じながら、のんびりと温泉に浸かることができる。
塩別つるつる温泉は、観光の合間に訪れるのはもちろん、宿泊も可能で、1日ゆっくり過ごすのにぴったりの場所だ。温泉好きにはたまらない泉質と静かな環境で、心も体もリフレッシュできるスポットとしておすすめである。
「水芭蕉大群落地」と「石北峠」
塩別つるつる温泉を後にして、「水芭蕉大群落地」を経由し、石北峠を越えて大函へ向かうルートでの移動。最初に立ち寄ったのは「水芭蕉大群落地」。立ち寄ったというよりは移動していたら見つけたので少し寄ってみた。
その後、車を走らせながら石北峠へ向かう。この峠は標高1,050メートルと北海道の峠の中では高く、層雲峡と北見市を結ぶ国道39号線の重要なルートでもある。峠の途中には展望台もあり、天気が良い日は遠くの山々や広大な森林が一望できる絶景ポイントだ。カーブを曲がるたびに変わる景色が見どころだ。
峠を越える道中は、森林地帯が続き、時折動物が顔を出すこともあるため、自然の中を走っている実感が味わえる。特に石北峠は紅葉や雪景色など、季節ごとに異なる表情を見せる場所として知られている。今回は夏の青々とした緑が美しい時期だったが、涼しさの中に広がる壮大な景観に心が癒された。
峠を越えた後、大函に近づくにつれて風景が岩肌の険しい景観へと変わっていく。切り立った峡谷や川の流れが目に入り、徐々に迫力を増していく風景が期待感を高めてくれる。水芭蕉の群落から峠越え、そしてダイナミックな峡谷へと続くこの移動は、道中そのものが北海道の自然をたっぷり味わえる素晴らしいルートだった。
「大函・流星の滝」と「銀河の滝」
15時半には「大函・流星の滝」と「銀河の滝」を訪れた。まず「大函(おおばこ)」は、石狩川が長い年月をかけて削り取った巨大な岩の峡谷だ。切り立った崖と深い谷が作り出す景観はまさに圧巻で、大自然の力強さを感じる。川面の透明度が高く、天気が良い日は水面に映る岩肌が美しい。ここでは川のせせらぎと鳥のさえずりだけが響く静かな空間が広がり、訪れるだけで心が洗われるような気持ちになる。
次に訪れたのは「流星の滝」と「銀河の滝」。これらは層雲峡を代表する観光スポットで、「夫婦滝」とも呼ばれている。高さ約90メートルの流星の滝は、その名の通り、力強く真っ直ぐに流れ落ちる水がまるで流れ星のようだ。一方、銀河の滝は高さ約120メートルで、水が細く繊細な糸のように流れる姿が特徴的だ。この二つの滝は性質が異なるため、一度に全く違う表情の滝を楽しむことができる。
滝と峡谷が作り出すダイナミックな風景は、層雲峡ならではの見どころで、訪れる価値が十分にある場所だと感じた。
層雲峡オートキャンプ場-大雪山系の麓に広がる自然豊かなキャンプ場-
16時50分、層雲峡のセブンイレブンで食材を購入し、17時に層雲峡オートキャンプ場に到着。ここは大雪山系の麓に広がる自然豊かなキャンプ場で、層雲峡温泉街にも近い便利な立地が魅力だ。キャンプ場の周囲には山々がそびえ、川のせせらぎが聞こえる静かな環境が広がっている。区画は広々としており、車を停めても十分なスペースが確保できるため、快適に過ごすことができる。
ただし、このエリアは電波が弱く、スマホの通信が不安定になることも。その分、自然の中でデジタルデトックスができると考えれば悪くない。セッティングを終え、夕食の準備に取りかかる。メニューはノンアルコールビールを片手に蒸し鶏春雨サラダ、つぶ貝、叉焼、おにぎり3個とシンプルなものだったが、山々に囲まれた新鮮な空気の中で食べると格別に美味しく感じる。
先日の清里オートキャンプ場よりも、週末金曜日ということもあってか層雲峡オートキャンプ場の方が利用者がやや多く感じた。特に目に留まったのは、近くに停めていたソロキャンプを楽しんでいる人が2人。それぞれタープ、テントなどのアウトドア環境をしっかり整えて、BBQセットから漂ってくるいい香りがなんとも魅力的だった。
自分は「早朝にすぐ出発」が前提なので、スピード&シンプル&片付けなしをモットーにしている。今回はいつものスタイルで、食材もノンアルコールビールに蒸し鶏春雨サラダ、つぶ貝、叉焼、おにぎり3個といった手軽なものにしていたが、BBQの香りを嗅ぎながらふと「網焼きセットくらい持ってきても良かったかな」と少しだけ後悔。火を囲むキャンプらしい雰囲気もまた、特別な楽しさがあるんだろうなと思った。
それでもシンプルな食事は片付けが楽で、翌朝の移動準備がスムーズに進むのが魅力。結果的にはこれが自分のスタイルに合っていると納得しつつも、次回はちょっとした網焼きくらい試してみるのもアリかもしれないなと思わせる夜だった。
日本最北のキャンプ場にようこそ。大雪山系黒岳の玄関口に位置し、美しい木立に囲まれた爽やかなロケーション。近くには石狩川が流れ、川のせせらぎを聞きながら友人や仲間、家族と一緒にバーベキューやキャンプを気軽に楽しむことができます。
層雲峡オートキャンプ場は、観光地としての便利さと自然の中でのんびり過ごせる静けさを兼ね備えた素晴らしいキャンプ場だった。
この日も移動が多く、観光地や食事を存分に楽しんだ一日だった。滝や神秘的な池、美味しい地元のグルメに触れることで、旅の充実感をたっぷり味わえた。少し体重が増えたのは気になるが、これも旅の楽しさの一部だろう。翌日も気持ちを新たに出発する準備を整えた。